眼科

担当獣医師 清水 悌二
【略歴】
岐阜大学卒業 愛知県内の動物病院にて勤務
麻布大学付属動物病院眼科専科研修獣医師

【論文・雑誌・学会発表歴】
重度の角膜固有質の傷害を伴う慢性角膜炎の犬の1例:INFOVETS Vol14 No5 20-24(2011)

 「眼は口ほどに物を言う」といいますが、動物にとって眼は飼い主さまとコミュニケーションをとったり、大好きなオモチャを追いかけたりと、とても大切な器官です。しかし、眼は直径2cmととても小さいため、眼の異常に気付かないまま病状が進行してしまっている場合があります。他の疾患と同様に眼の病気も早期発見・早期治療が重要ですので、定期的な眼の健康診断をオススメします。皆様の大切な家族の眼の健康を守る為、当院では、様々な検査を駆使し客観的な眼科診療を行っています。眼のことで不安なことがありましたらご相談下さい。

【場所】

プリモ動物病院 相模原中央
住所:神奈川県相模原市中央区東淵野辺4-11-45
   地図はこちら
電話番号:042-750-7880

【専門外来時間】

眼科については、常時受付をしておりますが、 初診、セカンドオピニオンの方は、詳しい検査やご説明をさせていただくため、ゆとりのあるお時間にご予約いただくことを推奨しております。

予約に関してはお電話042-750-7880または メールでご確認ください。

眼の構造

眼の構造(模式図:眼球横断面、眼球正面)

【眼瞼】
まぶた。瞬きをすることにより眼の表面を保護します。睫毛の毛根部周辺にはマイボーム腺という脂分を出す腺があり、ここから分泌される脂分は角膜表面で涙膜を形成します。

【瞬膜】
第3眼瞼ともいわれる膜状構造物です。普段は眼の目頭よりの下側に収納されていますが、様々な原因で眼を覆うように出てきます。眼の表面を保護したり涙液を産生したりする働きがあります。

【角膜】
眼の一番外側に位置する透明な膜です。細胞が規則正しく配列することにより透明構造を維持しています。細胞の配列が乱れると角膜が濁ります。また神経分布が豊富なため、小さな傷でも強い痛みを感じます。

【虹彩】
水晶体前面を覆う膜状構造物です。虹彩中心の開口部を瞳孔といいます。瞳孔を開閉させて眼の奥にある光の量を調節します。

【前眼房】
角膜と虹彩間の空間です。眼房水と呼ばれる液体で満たされています。

【隅角】
虹彩と角膜で挟まれた間隙です。ここにある線維柱体と呼ばれる線維の間を通って眼房水が排出されます。

【水晶体】
カメラのレンズの役割を果たします。光を適度に屈折させて網膜に像を結ぶ働きがあります。

【毛様体】
虹彩の辺縁にある構造物です。眼房水を産生します。また水晶体を固定している毛様小体もここから発生します。

【硝子体】
水晶体と網膜の間に存在するゼリー状構造物です。眼球の形状を保ったり、水晶体や網膜を正常な位置に固定する働きがあります。

【網膜】
光刺激を受け取る膜状構造物です。桿体と錐体の2種類の光受容体細胞により光刺激を受け取ります。また犬や猫にはタペタムと呼ばれる人間にはない構造があります。タペタムは光を反射・増幅して光受容体細胞に伝える働きがあります。

主な眼科疾患

【乾性角結膜炎(KCS)】

◆どんな病気?
いわゆるドライアイです。なんらかの理由により角膜の表面を覆う涙膜の形成に異常をおこし、角膜が乾燥することによっておこる慢性の角膜や結膜の炎症です。ヒトのドライアイよりも犬の場合には症状が重篤になることが多いです。重度になると写真のように角膜に黒い色素がついてしまい、視覚障害をおこします。

◆どんな症状がでる?
粘度の高い眼脂が出てくる。角膜の光沢がなくなってきた。いつも白眼が充血している。寝ている時に眼を完全に閉じない。などの症状があります。

◆病院ではどんな検査をするの?
病院ではシルマーティアーテスト(STT)と呼ばれるろ紙を瞼の下に入れる検査で涙液量を測定します。 角膜表面を涙膜がしっかり保護しているかを診るためには、フルオルセインと呼ばれる黄色い液体を眼にたらして角膜表面から染色液が何秒で除去されるかをみる検査(涙膜破壊時間TBUT)を行います。

◆治療法は?
原因によって治療法と予後はかわりますが、軽度であれば涙液成分の補充と角膜保護用点眼液で治療します。重度な場合にはステロイドや免疫抑制剤を使用します。長期の点眼治療が必要な場合が多いです。

・ソフトサンティア:人工涙液です。眼表面の涙液を補充します。
・エコリシン眼軟膏:抗生物質軟膏です。角膜の感染をおさえるだけではなく眼表面の脂分を補給します。
・オプティミューン:炎症を抑える効果と涙液の分泌を促進する効果があります。

【角膜潰瘍】

◆どんな病気?
角膜に傷が付いてしまうことによりおこります。浅く小さい傷であっても適切に治療しないと潰瘍が悪化したり、角膜に穴があいたりする可能性があります。元々角膜になんらかの異常がある場合には悪化しやすく、治癒も遅くなるので注意が必要です。

◆どんな症状がでる?
角膜は知覚神経が集中しているので、小さな傷でも痛みを伴います。突然眼をしょぼつかせたり、気にして掻こうとしたりします。痛みが強い場合には頭部に手を近づけると攻撃的になったりします。

◆病院ではどんな検査をするの?
フルオルセインと呼ばれる黄色い染色液を眼にたらします。眼に傷がある場合にはその部分が染色されます。

◆どんな治療をするの?
原因や潰瘍の深さによって異なりますが、傷口が浅い場合には角膜保護剤や抗生物質の点眼で治療します。傷口が深い場合には自己血清点眼と呼ばれる自分の血液より作成する点眼液やコンタクトレンズによる保護を併用します。さらに重篤な場合や点眼液による治療では改善が認められない場合には、結膜フラップや角膜縫合などの手術が必要になります。どの治療法でも眼をかいたりこすったりすると悪化するのでエリザベスカラーの装着が必要です。

・パピテイン:角膜表面を清浄化、角膜融解の防止目的で使用します。

◆治療しないとどうなる?
傷が小さく感染もなければ自然と傷口が治る場合もありますが、状況によっては角膜が溶けて潰瘍がどんどん進行したり、角膜に穴が開いたりする場合があります。角膜が穿孔すると眼内容物が眼の外に出てしまい、失明する可能性が高くなりますので、例え小さな傷であってもなるべく早く受診をしてください。

【白内障(成熟白内障症例)】

◆どんな病気?
カメラの「レンズ」に相当する水晶体が濁ってしまった状態です。お年寄りに発生すると思われがちですが、遺伝や外傷、糖尿病などによって若いうちに発生する場合もあります。白内障はものが見えなくなるばかりではなく、重度になるとブドウ膜炎という眼の内部の炎症や網膜剥離・緑内障を起こす可能性があります。白内障の根本的な治療には手術が必要になります。

◆どんな症状?
写真のように瞳の中が白くなることによって気付くことが多いです。また水晶体の濁りによって視覚障害をおこす可能性があります。

◆視覚障害をおこすとどういう症状がでますか?
物にぶつかる。動きたがらない。フードを置いても気付かない、または鼻で探るように近づく。飼い主様とアイコンタクトがとれない、表情がなくなるなどの症状がでます

◆どんな検査をするの?
拡大鏡を使い水晶体の混濁の程度を評価します。水晶体を十分観察するには、散瞳剤を用いた散瞳検査が必要です。

◆白内障が進行するとどうなりますか?
水晶体が濁ることにより視覚障害をおこします。また水晶体の厚さが変化するため、水晶体脱臼や網膜剥離を起こしやすくなります。重度になると水晶体内のタンパク質が水晶体の外に流れ出てしまい、ブドウ膜炎を起こしたり、炎症産物が原因となって緑内障になったりする可能性があります。

◆どんな治療法があるの?
一度混濁してしまった水晶体を元に戻す方法は現在のところありません。唯一の治療法は手術で混濁した水晶体内容物を除去して人工レンズを挿入する方法です。混濁が軽度であれば、点眼液や抗酸化サプリメントなどで進行を抑える方法をとります。進行した白内障で諸々の事情で手術を行わなかった場合でも、上記のブドウ膜炎などを予防する必要がありますので、継続的な炎症止めの点眼や定期的な眼圧チェックが必要です。

・カリーユニ:白内障の進行を抑える働きがあるといわれています。
・ティアローズ:抗炎症剤です。白内障にともなうブドウ膜炎を軽減する目的で使用します。
・リンデロン:ステロイド点眼液です。白内障にともなうブドウ膜炎を軽減する目的で使用します。


◆白内障の手術はプリモでできるの?
申し訳ありません。白内障手術には専用の機械が必要ですが、当院ではその施設が現在のところありません。大学などの二次専門施設を紹介することは可能ですのでご相談ください。
※手術は全ての患者様に適応できるわけではありませんのでご注意ください。
※手術をしても定期的な眼のチェックと続発症を予防するために継続的な点眼治療が必要になります。

【緑内障】

◆どんな病気?
眼の中では常に眼房水という液体の産生と排泄をバランスよく行っています。緑内障とは何らかの原因により眼房水の排泄が出来なくなり、眼の圧力(眼圧)が高くなってしまった状態です。写真のように白目の部分の強い充血と眼の痛みをともないます。眼圧が高い状態が続くと視神経を圧迫し失明にいたります。また眼球も大きくなり(牛眼)、瞬きが出来なくなることにより、眼の表面が乾燥して慢性的な角膜の炎症をおこします。

◆原因は?
眼房水は虹彩の裏側にある毛様体から産生され、瞳孔を経由して前房に移動し、虹彩辺縁の隅角にある隙間を通って眼の外に排泄されます。房水の排泄経路のどこかで閉塞が起こると、眼内に房水が過剰に貯留して眼圧があがります。

原発緑内障:先天的な隅角異常にともない発症します。アメリカンコッカースパニエルや柴犬、トイプードル、シーズー、マルチーズなど罹患しやすいです
続発緑内障:網膜剥離、白内障、水晶体脱臼やブドウ膜炎などの眼内炎症により緑内障を発症する場合があります。

◆どんな検査をするの?
緑内障の診断には眼圧測定を用います。眼圧検査にて眼圧の上昇が認められれば、緑内障と診断します。また隅角検査を行い、隅角状態を確認します。視神経の圧迫の有無を確認するために眼底検査も実施します。

◆治療法は?
緑内障の治療は内科的治療と手術による外科的治療があります。内科的治療は点眼薬や飲み薬または注射などによって房水が作られるのを防いだり、房水の排泄を促すことで行います。

・チモプトール:房水の産生を抑制します。
・トルソプト:房水の産生を抑制します。
・キサラタン:房水の排出を促進します。

・外科的治療:レーザーや薬を使って毛様体を破壊して房水を作れないようにしたり、インプラントと呼ばれる管を眼の中に挿入してそこから房水を眼外に排泄させたりします。牛眼になってしまった場合には最終的に眼球を摘出する手術が必要になる場合があります。
※緑内障の外科的治療は現在のところ当院では実施しておりませんので、専門病院をご紹介します。


眼科診療の流れ

◆受付
受付は火・水曜日を除く診察時間(9時-13時、16-20時)に直接病院にお越しください。受付時に眼科専門診療希望の旨をお伝え下さい。またお電話による事前予約も承っております。 担当獣医師は一般診療も行っておりますので、他の患者さまの処置や診察の都合上お待ちいただく可能性がございます。

◆問診
発症日やその状況やご自宅での行動の変化などを詳しくお聞きします。できるだけ、普段から患者の世話をしていて、状態が分かっている方が連れてくださるようお願いします。

◆視診
まずは動物に触らず、診察室に入ってくるまでの歩き方、診察室内での視線の方向、飼主様とのアイコンタクトの有無などを観察します。次に動物を正面から観察して左右の眼の位置や大きさの違いなどを観察します。

◆全身身体検査
眼の病気の中には、全身疾患の一症状として発現するものもありますので、眼だけではなく全身の身体検査も行います。場合によっては血液検査やレントゲン検査、超音波検査などが必要になります。

【眼科検査】

 一通りの全身身体検査の後、眼の検査を行っていきます。
 眼の検査は非常に繊細で、飼主様が近くにおられますと動物の視線が定まらず、正確な検査が難しくなります。原則的にはお預かりして検査しますので、飼主様は待合室でお待ちください。
 また、検査のため動物の顔の近くで観察したり、検査機器を使います。眼科の患者は、眼が痛かったり見えなかったりなど非常に神経質になっている場合がありますので、思わぬ事故を防ぐ目的で口輪を用いる場合がありますがご理解ください。

◆視覚機能検査

眩目反射:眼に強い光を当てた時に眼をつぶる反射です。眼球内の光の通り道(中間透光体)、網膜、視神経や顔面神経異常で低下します。

威嚇瞬き反応:眼の前に急に物が近づいた時に眼をつぶる反応です。眩目反射と似たような検査ですが、こちらは大脳を経由する反応のため、興奮している動物や幼弱な動物では反応しない場合があります。

瞳孔の対光反射:眼に光を当てた場合の瞳孔の動きを評価します。光を当てた眼の反応を直接反応、光を当てた側と反対眼の瞳孔の反応を間接反応といいます。正常であればどちらも瞳孔の縮小がおこります。中間透光体、網膜、視神経、動眼神経および虹彩の異常で低下します。

綿球落下試験:眼の前にコットン球を落として、眼で球を追視するかどうかを判定します。

 視覚機能検査は簡便な検査ですが、動物の状態によっては正確な視覚状態を反映しない場合がありますので、他の検査と合わせて評価します。

◆シルマー涙液検査(STT)
ろ紙片を瞼と眼の間に挟んで涙液量を測定します。通常1分間に10mm-25mmの涙がろ紙片を伝っていきます。主にKCSの診断や経過を診る目的で使用します。

◆眼圧測定
眼の固さ(眼内圧)を測定する検査です。正常の場合15-25mmHgです。緑内障の時には眼圧があがり、眼内の炎症(ブドウ膜炎)の時には眼圧は低下します。当院では点眼麻酔を必要としない手持ちの眼圧計を用いて眼圧を測定することができます。

 スパニエル種、レトリーバー種、テリア種や柴犬は緑内障を起こしやすい犬種ですので、特に定期的な眼圧チェックをオススメします。

◆散瞳検査
散瞳剤を使用して瞳孔を開かせた状態で行う検査です。水晶体の混濁の観察や後眼部の診察を行う際に行います。散瞳剤は点眼後30分程度で瞳孔が開き、通常6-8時間散瞳効果は持続します。

◆超音波検査
眼の内部を観察するための検査です。網膜疾患や眼内の腫瘍の診断に用います。特に前眼部が出血や白内障などのため眼の奥の観察が困難な場合に有効です。

◆ 眼底検査(簡易眼底検査)
眼の一番奥にある網膜や視神経乳頭の異常を観察するための検査です。

眼科検診

眼の病気の中には一見異常がないように見えていても実は症状が進行していて、気付いた時には手遅れというものも多いです。普段の生活では気付きにくい眼の異常を早期に見つけたい方、以前から目のことで気になることがある方はこの機会に眼の健康診断をうけられてはいかがでしょう。

犬と猫の主要な眼科症例

犬の眼底異常

犬の正常眼底

進行性網膜萎縮

網膜剥離

緑内障
猫の眼底異常

猫の正常眼底

高血圧性網膜剥離と眼底出血

タウリン欠乏症

猫伝染性腹膜炎

眼科健診の内容

■検査内容
■視覚機能検査 ■スリットランプ検査 ■シルマー涙検査 ■眼圧検査
■眼底検査 ※オプション 散瞳検査(特に白内障が心配な方)
通常価格:¥6,000円+診察料 ※散瞳検査 +1,000円
健診価格:¥5,000円(診察料込み) / ¥5,500円(診察料+散瞳検査込み) 

眼科健診は予約が必要となります。ご都合のよい日時をお知らせください。
相模原中央 担当獣医師 清水 Tel.042-750-7880

※ワンちゃんや猫ちゃんの性格上全ての検査実施が困難な場合があります。
※散瞳検査は散瞳剤を点眼後効果発現まで20分以上かかりますので、30分ほどお時間をいただきます。眼の状態によっては実施できない場合がございます。

年中無休 午前診療/9:00〜13:00 午後診療/16:00〜20:00 夜間救急/20:00〜24:00

※夜間救急について

現在の待ち人数
Tel.042-750-7880 メールでのお問合せ
ページトップへ